仕事ではなく生き方である
その支援のために必要なことを具体的に決めて、「仕事」として定義することは不可能だと思っています。
クライアントの置かれている環境、つまり法制度、市場の規模・成長性・ニーズ、競合の数・強み・弱み・戦略、
クライアントの強み・弱み・経営者や従業員の性格・考え方・政治的な力関係や人間関係等、
挙げれば限りないですが、それぞれクライアントによって千差万別なので、
コンサルタントとして求められる思考や行動も、その時々によって変化します。
コンサルタントとして決められた仕事は何もなく、
コンサルタントとして生きる中で自分が「これだ」と思ったことに打ち込む。
そんな中で自分なりのコンサルタント像が見えたり、見えなかったりする。
芸人といっしょだと思います。
「これをやればいい芸人」というものがあるわけではなく、
芸人としての生き方があり、「どうすればいい芸人になれるか」
自分なりに模索する中で、初めて芸人は芸人足りえる。
日々、生きていく中で、芸のネタやヒントを無意識に探している。
…コンサルタントもそういった職業の一種です。
「育つ」ための『徒弟制』
そのような一人前の「コンサルタント」を育てるため、CDIでは「徒弟制」を採っています。
師匠に当たるManaging Director(経営陣)自らが、
各々で定めた採用基準と採用プロセスで、少数精鋭の弟子を迎え入れる制度です。
採用後の師匠と弟子の関係性は、一見するととても曖昧です。
師匠は、常に弟子と向き合い指導するわけでもなく、
積極的に前を走って背中を見せるわけでもありません。
むしろ、ともにクライアントと向き合う中で、
「横に並んで同じ景色を見て同期していく」という表現が近いかもしれません。
コンサルタントは、人格をクライアントにぶつけなければならないので、
一人前になった姿は、人によって違います。
色んな試行錯誤をしながら、自分で自分を育てるしかありません。
もちろん、経営分析や資料の作り方など技術的なことは教えられますが、
それは、読み書きソロバンのようなものでしかありません。
コンサルタントの「育ち方」には個人差があります。
早い時期からポテンシャルを発揮するタイプもいれば、大器晩成のタイプもいます。
若いコンサルタントがじっくり「育つ」ことができるように、
師匠は弟子が「育つ」ための土壌を、覚悟と責任をもって作り、見守ります。
「向いている人」を定義することはできません。
ただ、向かない人は、はっきりしています。
学校時代の進学プロセスや前職の昇進プロセスの、「レール上の競走」のクセが抜けない人。
しかし、何が求められるのか、何をすればよいかがわからない現実世界を眼前にして、
「課題を見出すこと」こそが創造力であり、私たちの仕事の本質です。
「経営の意思決定に直接関われる仕事」がしたい、と気楽に言う人が時折いますが、
そのような「近道」があるほど甘くありません。
私たちにできることは、そのために「何倍もの速さで全身全霊で動き考えること」だけです。
必要なことはそれをやり続ける本当の「覚悟」です。
創造の旅に出る前から、給料のことを考えている人はいないと思います。
皆で創造したものの対価として得た報酬を、分かち合うだけです。
それを決めるのは、自ら創造したものに対するクライアントの評価です。
自分が生きる上での否応ない関心と、仕事への内なる強い衝動が、根源で分かち難く結びついていなければ、
苦しみながら創造的なものを生み出し続けることはできません。
ワーク・ライフは「バランス」するものでなく「一体」です。
①~④であることが、よくないと言っているわけではありません。
むしろその方が、世の中では常識的で普通のことなのであって、ヘンであるのは私たちの方です。
しかし、常識的で普通の組織では、正直な自分がなんとも収まりが悪く、居場所を見つけられない人。
そういう純粋でヘンな仲間にこそ「参加」してもらいたい・・・私たちはそう願っています。